第23章 追憶の果て
「これは…」
赤井さんも少し驚いている様子だった。
眠っている自分の顔を触れてみたら、ちゃんと温かかった。
酸素マスクだって規則正しく曇っては、曇りが取れる
それの繰り返しだった。
管が通っている首だってしっかり脈を感じれた
自分は元居るこの世界でちゃんと生きているんだ。
だったら今こうして動けている自分は一体誰なのか、頭が混乱してきた。
「みなみ、落ち着くんだ」
落ちるようにベッドの傍に設置された椅子に座り込むと
赤井さんが優しく背中を摩ってくれる。
『何だか…本当にもう、何が何だか分からないですね』
「ああ、それは同意だ。ここで眠っているのも紛れもない、みなみだもんな」
記憶が鮮明に蘇ってから、眠っている自分の姿は傷だらけで。
それにあの時の自分の心情を考えると、自分自身に申し訳なくなった。
だけど、恐らくこれがあったからこそ今の自分が居る訳でもあって。
だからと言って決して許せる訳では無い
今どんな夢を見ているのだろう
きっと痛いし苦しんでいる筈。
あの頃は自分を大事に出来ていなかった。
今になってよく分かった
赤井さんの居る世界に来てからは、周りの人達の優しさに沢山触れて
自分を大事にしてくれる人も居て、少しづつ精神的にも良い方に変化が訪れた。
薄情かもしれないけど、もうこの世界には未練は無い。
眠っている自分を楽にしてあげたかった。