第23章 追憶の果て
「かなり緊迫した様子だったな」
エレベーターに向かって歩き出すと、どこか可笑しそうにそう言ってくる赤井さん。
『あー気付いてたんですか?まったく。赤井さんは涼しそうですね』
「どうでしょうね、このマスクの下はそうでも無いと思いますが」
エレベーターのボタンを押していると、背後から背中を丸めて耳元で突然囁かれた。
突然沖矢昴になるもんだから…
何だか心臓に良くない
だけどこの場で揶揄って来る所も正直凄く愛おしい
外でもうこういう事が出来るのはこの世界に居るからこそのならではだから。
別の意味でまた早まってきた心拍はエレベーターの到着音によって少し落ち着かせる事が出来た。
『ほら、乗りますよ』
「まあそう怒るな、良くやったぞ」
二人だけの空間で、優しく頭を撫でながらそう微笑んでくれた。
『ありがとうございます』
やっぱり赤井さんに褒められるのはいつだって緊張して慣れない
ましてや赤井さんへの情熱を再確認した後だから、改めて全てが不思議な感じ。
自分の姿を見なければいけない時が近付く
『どんな風になってるんだろ⋯』
「大丈夫だ。心配は要らない」
赤井さんが優しくまた手を握ってくれて、その言葉だけで半分以上は安心出来るぐらいだった。
階に到着した事を知らす音と共に開く扉と同時に繋がれた手が放たれた。
病室に向かって歩き出し、程なくして足を止める
「ここみたいだな」
一人部屋の入口にしっかりと自分の名前の札が入っていた。
『なんか…凄いですね』
分かってはいても、驚きに笑みが零れた。
「大丈夫だ、入るぞ」
赤井さんが背中に回してくれた手でトントンと優しく叩いてくれながら病室の扉をゆっくりと開けた。
窓際に設置されたベッドの元へ近付く
そこには頭に包帯を巻かれ、管が繋げてあって所々に包帯やガーゼを貼られ呼吸器を付けたまま眠っている自分の姿があった。
分かってはいたけど、いざ実際に自分の姿をこうやってみると言葉が上手く出ない。