第20章 本音
『えっ どう思うって…』
「好きなのか?」
『え?いえ…』
びっくりした…
突然そんな質問が降ってくるとは思ってなくて。
今はお互い顔が見えてなくて安心した
もし見えてる状態なら赤井さんは直ぐ分かってしまう筈だから。
「安室君はそうでもないみたいだぞ」
『どう…なんでしょうね…』
「まあ、今は安室君に助けられているのも事実だ。思わぬ形だったがな」
『そうですね…』
「だが」
「少々仲良くしすぎでは無いか?」
『えっ?』
「手を繋ぐ程の仲なのか?」
『あれは』
そりゃあ あの時の事をスルーという訳には行く筈も無く。
だけど突然今それを聞いてくるというのも流石は人の心理をよく理解しているし、いつも何を考えているのか結局分からなくて
冷静沈着な赤井さんからのこの質問の意図は自分でも読めている
こんな時なのに、そう考えるとどこか少し嬉しくて。
だけど、こんなにも大事に思っている赤井さんを前にしても素直に否定する事すらも出来ない自分が居て。
「“あれは”なんだ?」
その言葉と共に、私の体を包む赤井さんの両腕の力が更に強くなる
苦しいほどに。
『あの時、まだ怯えていた私の事を気使ってそうしてくれたんです』
動揺を一瞬見せた癖に、こんな嘘をサラッとまた吐いてしまった
この場所に零は居ないし冷静沈着に聞こえることも無い。
有利な嘘を付けば良いだけの筈なのにそんな事もできなくて。
『だけど、それはいけない事だって良く分かってます。ごめんなさい』
「謝罪が聞きたい訳では無いんだ、みなみ」
『え?』
腕の力が弱まり、必然的にそこで漸く顔を見合わせる。
「みなみの気持ちを聞いているんだ」
赤井さんの表情からはどこか少し、弱々しくも見えた。
気の所為だろうか。
暖かくて、少しガサガサした手が頬に添えられ
徐々に下へ滑らすようにしながらそう言う赤井さん。
『私は、赤井さんが好きです』