第2章 試行錯誤 (太宰治)
太宰さんは掴みどころのない人だ
だけど余計な詮索はしない、というかタブーだ
じゃあ私はどうすればいいのだろうか
結局どうすればいいのか判らなかった
中也さんは丁寧に私の話を聞いてくれたし、私の聞いたことには何かしら答えてくれた
でもいっこだけ…1番大事なこと聞くの忘れちゃったな
太宰さんの好きな人って誰なんだろう
前に1度だけ言っていた
「私にはね、好きな人がいるのだよー意外でしょ?って月宮ちゃん聞いてる?」
『はいはい、聞いてますよー凄いですねー』
「聞いてないし…」
誰ですか?って聞いておけばよかったなー
私ですか?なんて絶対言えないよな…
中也さんに聞いたところで、知るかよって言われちゃうんだろうけど…
でも人に頼ってばかりではいられない、自分でやらなきゃいけないんだ
『押してみる作戦…決行するかぁー?』
きっと失敗の繰り返し
恋愛って試行錯誤しなきゃなんだね…
ーーー
「だ!ざ!い!!やる気を出せ!いつもいつも俺の予定を滅茶苦茶に!!」
「今ムリ…太宰治なうろーでぃんぐ…」
「昨日からこの調子ですよね…」
「嗚呼、昨日社に戻ってくるやいなや、いきなり嫌だのなんだの騒ぎおって…」
「失恋って怖いですね…」
「精神的に不安定なんですかねー?なら僕の地元に行けば心を空っぽにして暮らせる大自然なので、オススメです!」
「賢治君…私の傷は大自然にも癒せないさ…」
「そうですかー、それは大変です…」
「妾の異能も心までは治せないよ」
ガチャリ…
『おはようございまーす!ってあれ?皆さんお集まりで…どうしたんですか?』
「嗚呼、月宮!丁度いいところに来たねェ、実は太宰が昨日からこの調子さ」
『え、このちっちゃく丸まってるの太宰さんなんですね…』
「月宮ちゃん…君は肝が据わってるね、とてもチャレンジャーだ…」
『急に何の話ですか…』
「月宮、太宰は任せたぞ、俺は早く仕事をしなくては」
『え?』
「そうですね!月宮さんが一番効くかもしれませんし、よろしくお願いします」
『賢治君まで…』
「頼んだよ月宮」
『与謝野先生ぇー!……、敦君ー?』
「ぼ、僕は何も知りませんよ?!」
『どうしてこうなったか教えてくれない…?』