第5章 初調査 (太宰治)
無言の太宰さんが気になって顔を上げる
太宰さんは、ちょっと困ったような、心做しか照れたような顔をして微笑んでいた
もっと恥ずかしくなるんですけども…
『…なんか言ってくださいよ』
「可愛い好き」
え、オタク…?
「ほんと、月宮ちゃんの所為だからね」
『…?』
嫌な予感
身体が浮いた
…浮いた?!
太宰さんに担がれている
…
そしてそこまで広くない部屋の中を移動し
布団の上におろされる
うん、嫌な予感
布団が1枚、体痛くなるコースかな
あ、でもなんか眠いかも…
「逃げないの?」
『逃がすつもりないでしょ?』
…なんか眠いし抵抗する力もないや
頭がぼーっとする
「ご名答」
太宰さんに顎をすくわれる
「ねえ、そういう顔、私以外の前でしない方がいいよ」
『…?』
どういう顔?眠過ぎて話さえ頭に入ってこない
私は目を閉じた
唇が重なる
前よりも少し長かった
数秒経って
「…ん?月宮ちゃん…?」
『zzz…』
「、、!寝てる…ふふ、私は眠っている人に手を出すほど鬼じゃないからね、今日のところは勘弁してあげよう」
くちづけをひとつ落とす
「明日の朝は覚悟していてね」
という言葉が現実になり
次の日苦労することになるとは思ってもみない月宮であった
ℯ𝓃𝒹