第5章 流星群が誘う旅
千寿郎が台所で蜜璃から教えてもらった甘味、すぃーとぽてとをせっせと作っている間、杏寿郎と甘露寺蜜璃は離れにある道場で手合わせをしていた。
窓を開けてお芋を蒸していると、道場の方からバシンバシンという激しい音が聞こえてくる。
「今日も激しいな。蜜璃さんが継子で家にいた時を思いだすなぁ」
懐かしく思いながら蒸し器を開けてみる。さつま芋は柔らかくなって、潰すとそれだけで甘かった。
「えっと、ここにお砂糖とバターを…」
千寿郎が紙に包まれた貴重品のバターを切り取ろうとした時。
「ひゃあああ〜んっ!師範っ、ちょっとちょっと、きゃあああ!! 」
ダダダダ、パッシバッシと竹刀と竹刀とがぶつかり合う音がした。道場の床を走り回る足音も響く。
「甘露寺!!体が鈍ってないか⁉︎そんな事でどうする甘露寺!鬼殺隊でやっていきたいならもっと腕を磨け!! 」
兄の元気すぎる声が聞こえてきた。
「兄上は鍛える時には容赦がないからなあ!蜜璃さん、頑張って」
心の中で二人を応援しながら、お芋を形作っていく。
「美味しいオヤツを作りますね!ふふ、楽しみだなぁ」
窓から入ったそよ風が、千寿郎の結んだ髪を優しく揺らす。すぃーとぽてとが出来上がるまでもう少しだ。千寿郎は緑茶の準備をしながら楽しい気分になっていた。
蜜璃が家にいた頃、よくこうしてオヤツを作り道場に運んだものだ。
明るく可愛らしい蜜璃がいると、父と話せない寂しさが随分と紛らわされた。兄上には、なかなか継子ができないけれど、また可愛い女の子が来てくれたら嬉しいなと千寿郎は思った。
「できた!兄上はそろそろ休憩かな? 」
兄と蜜璃の元気な声がしている。蜜璃さんはお腹が空いているだろうから早く届けなくちゃ!千寿郎はお菓子の載った籠を持つと、台所の勝手口から外に出た。