第4章 白梅と月夜の友人
その夜、お父さんとお母さんが輝利哉の部屋で着替えなどお世話をしている間に、ひなたはお昼にお手伝いをしたグラタンをもう一度作ってみる事にした。
今日、お父さんは仕事で、お母さんは用事で家に帰っていたから、二人に美味しいグラタンを食べさせたかったのと、アオイさんが作りながら教えてくれたので、記憶が新しいうちに作れるようになっておきたかった。
むき海老と小さく切った鶏と玉葱を炒めて、なんとかできたホワイトソースを合わせる所で、もう汗が流れてくるほどに緊張した。
たった4人分ほど作るだけでも、ひなたにはショーを2本こなすのと同じエネルギーを必要とする。
グラタン皿に注ぎ分けて、アオイさんがやっていたようにゴーダとモツァレラチーズを削って乗せてオーブンに入れると、倒れ込みそうになるくらい消耗していた。
「うううっ…頑張った!! 」
お台所の床に寝てしまいそうになりながら、椅子に倒れ込む。
毎日のように30人分、時にはそれ以上をほぼ一人で作って笑っているアオイさんは人間ではないと思った。
グラタンが焼けるまで爆睡しそうになりながらも、使った道具を洗っておく。これもアオイさんから教えられた事だった。
25分ほど焼くと、チーズがこんがりとしてきたから、ミトンを持ち、オーブンを開けた。あつあつの熱がワッと来て、怯む。
慎重にしたつもりだったけど、オーブンの庫内はとても熱くて、グラタン皿をしっかり掴みそこねて、滑ったグラタン皿はひなたの腕を一瞬かすった。
「…っっ熱いっ…!! 」
声が出る。びっくりして叫んでしまった。
一瞬だったけど、ひなたの腕にグラタン皿が当たり、目が飛び出る程熱かった。
「ひなた!どうしたっ!! 」