第4章 白梅と月夜の友人
「愈史郎には、これが見えてるんだよな? 」
「そうみたい。不思議な子だったの」
不死川さんは再び腕を組んで難しい顔をした。
「俺、愈史郎に会って来ようか。詳しい話が聞きたい。それにしても、俺は子供の頃からここに来てるのに、愈史郎なんて聞いた事が無い」
「おじいちゃんはいつも、月夜の友人って呼んでいたの。月夜の晩にしか来ないからって」
「へえ…」
ますます不思議な様子の不死川さんと、流れる水路を眺めていた。とても清らかな水が流れて、この庭園は素晴らしい。
「まァ、ひなたにも会った事はなかったな。孫がいるって先生から聞いてたけど、会ったのは最近だな」
「そうだね。でも前から知ってるみたい」
ひなたがにっこり笑って言うと、不死川さんも笑った。
「そうだな。前から知ってるみたいな感じがするなァ」
不死川さんは背が高い。180位あるのかな、ひなたは168cmあるけれど、見上げる形になる。
「私、アオイさんのお手伝いしてくるね!今日のお昼ご飯は何だと思う? 」
「さァな。ひなたが作るなら食える飯じゃねェな」
「私は助手だから味付けはしないよ。大丈夫だよ!! 」
ドンっと不死川さんを押すと、不死川さんはよろけながら笑った。
「アオイさん言ってたぞ。ひなたは頑張って料理覚えてるって」
「そうだよ。作ってあげたい人がいるからね」
おじいちゃんにお料理を作ってあげたい。今まで食べる事しかしてこなかった。
おじいちゃんの喜ぶ顔を見られたら…。
「そいつが可哀想だな」
不死川さんは声に出して笑った。笑うと凄く優しい笑顔になって、からかわれてもう一発叩こうとしていたひなたは、その笑顔を見て手が止まってしまった。