第4章 白梅と月夜の友人
「あの時代って何⁉︎ 愈史郎、大切なことは言ってないじゃん! 」
わりと短気な月夜の友人だ。穏やかで優しい輝利哉と愈史郎が親友だなんて、どういう繋がりで芽生えた友情なのだろう。
とにかく、ひなたはこの木には近づかないように言われたので、気をつけることにして、輝利哉のためにも早く白梅を再生させる必要があった。
「不死川さんに相談して木をなんとかしなくちゃ」
ベンチから立ち上がり、お尻をパンパン払うと屋敷に戻った。
「あら、ひなたちゃん。今までどこに行ってたの? 」
玄関で靴を脱いでいたら、畳んだ洗濯物を持って部屋から出てきたお母さんに聞かれた。
「白梅を見に行ってきたの。おじいちゃんの様子はどう? 」
「まだ眠ってるわ。ひなたちゃん、お庭に一人でいたの? 」
怖がりのお母さんは、おじいちゃんの庭が広いので夜は一人で出る事ができない。
「ちょっと一人で考えたい事があったの。おじいちゃんの部屋に行ってくるね」
奥にある輝利哉の部屋へと歩き出すと、お母さんもついて来る。
「お母さんも行くわ」
二人で眠っている輝利哉を見ていた。
綺麗な顔をしたお年寄りだ。昼間は苦しそうな表情を浮かべていたけれど、今は落ち着いて眠っている。
「おじいちゃまが元気になったら、もう一緒に暮らすわ…」
お母さんは泣いていた。
「今までは、一人が良いっていうおじいちゃまの言う事を聞いていたの。でも、もう一人にはしないって思うの」
「そうだね。みんなでこの家に住もうか。私もおじいちゃんと一緒にいたいよ」
輝利哉の屋敷は広く、昼間は生徒の賑やかな声に溢れているけれど、夜になると音がなくなり、静寂が広がっていく感じがする。
ひなたの家族が滞在していても、だだっ広い家の中に三人増えたくらいではまだまだ寂しい。三人が別々の部屋にいたりすると、この広い家に一人でいるような感覚を覚える。資料館に足を踏み入れたかと思うような、歴史を感じる日本家屋なのだ。