第4章 白梅と月夜の友人
「産屋敷耀哉とあまねの愛が白梅の木に宿り、この木に願いをかけると運命の相手に会える」
「本当に?」
「でも、折れてしまった…」
愈史郎は悲しそうな顔をした。
「輝利哉は悲しんだだろう。幼くして両親と離れてしまった輝利哉にとって、この木は両親が愛し合った証だったからな」
愈史郎はひなたの手を取ると、白梅の折れた部分を見るように促す。
「ここ、幹の剥き出しになった断面を見てみろ。悲しみが渦巻いているのが見えるか? 」
「どこ? 」
木を覗き込んだひなたは、折れた幹の中央部分が、ぽっかりと開いて暗い中に、流星群のように渦を巻いて煌めいている光を目にする。
「あっ…!!中に何か、あるわ!! 」
もっと近くで見ようと覗きこもうとしたら、慌てた愈史郎に肩をガシッと掴まれた。
「危ないって言ってるだろ!!聞いてないのか、そこそこ醜女!! 」
愈史郎の目がギンギンに怒っている。
「だって、綺麗なんだもの。良く見たかったの! 」
「それが見えるのはお前が特殊な能力を持っているからだ」
愈史郎はひなたの体を木から離しながら言った。
「普通の人間には見えないし、近づいても何も起こらん!お前は近づくとこの流星群に引き込まれて、あの時代に飛ばされるんだからな!! 」
「肝に銘じとけ! 」
愈史郎は怒りながら帰って行った。
愈史郎がジャッジャッと玉砂利を踏んで歩いて行くのを見送ったひなたは、ベンチに腰掛けると、半ば信じられない思いで茫然としてしまいそうだった。