第4章 白梅と月夜の友人
「…もしかして、月夜の友人って…」
「輝利哉は面白がって俺の事をそう呼ぶ」
この人が、おじいちゃんの言っていた月夜の友人だった。この人との約束の為なら、ひなたの家族の誘いも断ってしまう程に大切にしている友人。
「…こんなに若いなんて…」
思わず口をついて言葉が出ていた。
「そういうお前も若いだろ。…醜女ではないけれど…珠代様の足元にも及ばないな…ぶつぶつ…」
月夜の友人は一人言を呟いていた。
「ところで、くれぐれもお前はこの木に近づくなよ」
男の子は冷たい目をして言った。
「どうして」
「この木には不思議な魔力があるからだ」
「魔力って、何よ」
男の子の口から魔力と聞くと、ちょっと怖い。この子自体、人間離れした雰囲気を持っている。透き通るような肌は青白く見えるほど白かった。
「そんな事も知らないのか。もしかして輝利哉も知らなかったのか…」
男の子は折れた白梅を眺めて黙り込む。
「ねえ、この木を覆ったりした方が良いの?学生さんが近づくと危ないでしょ」
「いや。危ないのは、主にお前だけだ」
「私だけ⁈ 」
「そうだ。お前は輝利哉が選んだ人間だからだ」
男の子はきっぱりと言いきった。
「ちょっと話しておくから、座れ」
男の子は庭に置いてある竹のベンチにひなたを促すと、二人並んで座った。
「この白梅は、神籬あまねの実家の神社の木だ。もともと霊力があったのに、産屋敷の家に植えられた事で奇跡が起きた」
「奇跡? 」
聞き返したひなたに、愈史郎は頷いた。この男の子は自分を愈史郎だと名乗った。