第4章 白梅と月夜の友人
その夜、両親と共に産屋敷邸に泊まったひなたは、一人で白梅の木のある場所に来てみた。
庭の池の側に白梅の木はある。
立派な枝を伸ばしていた木が無惨に折れてしまっていた。花の咲く季節、白い花と池のある景色はこと更に美しく、誰にとっても憩いの場所だった。
近づいて、折れた場所に触れようとした時、聞き覚えのない声がした。
「触るな。今触れると、あっちの世界に行くぞ」
若い男性の声に振り向くと、ライトアップされた庭の灯りと夜光に照らされて、白く輝く髪色をした男の子が立っていた。
生徒さんは皆帰った後で、今は家族だけだと思っていたから知らない人が庭にいて、ひなたはビクッとした。
「誰? 」
男の子は10代後半という外見をしていて、青白く見える顔に白い服を着ているせいか、夜の庭に立っていると浮き上がって見えた。
「お前、輝利哉の孫だろう。…なるほどよく似ている」
男の子は感心したようにひなたの顔と身体をジロジロ見た。
「おじいちゃんに?私、おじいちゃんに似てるの? 」
あまり言われた事がなかったが…。
男の子はニコリともしないで言った。
「輝利哉のお母上だ。生き写しみたいだな…美しい」
ひなたは不思議になってしまった。ひなたの両親も知らない輝利哉の母上の顔を、この男の子は見た事があるような言い方をする。
こんな若い少年…ひなたと同い年くらいに見える男の子が、何を言ってるんだろう…ひなたはちょっと怖くなった。
「輝利哉は?寝込んだのか」
「なんで知ってるの?あなたは誰? 」
と言いながらその人を見ていて、ある人物がハッと思い浮かぶ。