第4章 白梅と月夜の友人
「あっ…」紗奈が小さく叫ぶ。
「何⁈ 」
「向こう。光る頭」
紗奈はまつ毛がバチバチにカールした大きな目で遠くを見ている。
「なんか白くて光る頭が見えた気がしたの。猫かもしれない」
「もう家に入ろう!ね、紗奈ちゃん今日家に泊まるよね」
「は?帰るけど? 」
「いやいやいや紗奈先生」
というわけで、無理矢理に紗奈を家に泊めることにして、ひなたはとりあえず無事に家に帰って来られた事にホッとした。
「ひなたの服ってかっこいいけど細いんだよなぁ」
紗奈は鏡の前で次々に服を身体に合わせては、ベッドの上に投げた。ひなたのスカートや長いドレスに着替えると、くるくると回りながら嬉しそうだ。
「これは?似合うと思うよ」
ひなたが差し出したのはパーティにも良さそうなミニのドレス。撮影の時に着て気に入ったので買ったものだ。
「デートにピッタリだよ。夜のデート」
ひなたがベッドに腰掛けて言うと、紗奈はチラリとひなたを見た。
「そういうアンタはした事あんの?デート」
ひなたはキョトンとして言った。
「ないけど?なんで? 」
「もったいねぇ! 」
紗奈は哀れっぽい声で言った。
「ひなたちゃん可愛いのにね。デートもした事ないなんてさ」
「あはは、いいって。事務所が恋愛には厳しかったの。紗奈、ご飯食べよ。何か作って」
「だからアンタ彼氏できないんだって」
キッチンに降りて、紗奈が冷蔵庫を見て鍋を作ってくれた。紗奈は調理師をしている。今は渋谷のロールキャベツが有名なお店で働いている。
「おばちゃん冷蔵庫に食材いっぱい入れてるね」
「おじいちゃんがよく来るからね。色々食べさせたいって」
温かいご飯をお喋りしながら食べて、ひなたはお母さんに電話をした。
おじいちゃんの事が気になっていたからだ。
変わらず眠っていると聞いてから電話を切った。