第4章 白梅と月夜の友人
お父さんは悲しげな顔をして白梅を見つめていた。この家で育ったお父さんにとっても、特別な木だった事は間違いなかった。
お父さんはハンカチでさっと涙を拭うと、おじいちゃんの方に歩み寄った。
「父さん、ふらついてる。少し休もう。繭子さんもいるし、家に帰ろう」
おじいちゃんの受けているショックが相当なものだと思ったお父さんは、おじいちゃんを家に連れて帰ろうとした。
「先生、顔色が悪いから休んだ方が良い。ここの事は俺に任せて、先生はご家族と家に帰ってください」
不死川さんの腕に支えられているおじいちゃんが、なんだかとっても小さく見えてしまった。普段は背筋も伸びてしっかりした輝利哉が、体格の良い不死川さんと一緒にいると、儚く消えてしまいそうに見えた。
「おじいちゃん、お母さんも待ってるから、家に帰ろう」
ひなたが輝利哉の片方の腕を握って言うと、輝利哉の顔にふと生気が戻ってくる。
「…ああ…ああ…悪かったね、皆に心配をかけてしまった」
不死川さんの手に優しく触れて、輝利哉は微笑んだ。
「実弥、ありがとう。国凛哉、ひなたも悪かったね。私なら大丈夫だよ。まだここにいたいんだ。ここでやりたい事があるからね…皆、ありがとう」
おじいちゃんは譲らなかったので、不死川さんもお父さんも引き下がるしかなかった。
「先生、くれぐれも無理は駄目ですよ。高齢なんすから」
「そうだよ父さん!不死川君の言う通りだ」
輝利哉は、分かったというように頷いて屋敷に戻ると、その日は部屋に籠ってしまった。
不死川さんの話では、白梅を修復するために策を考えていたようだった。