第4章 白梅と月夜の友人
次の日の朝は嵐も収まって穏やかな天気になっていた。
白梅の事が気になると言うおじいちゃんを連れて、屋敷に戻ってみたお父さんとおじいちゃん、ひなたを待っていたのは、無惨にも折れた白梅の木だった。
「…ああ…ああ…白梅が…」
いつもは立ち姿の美しい輝利哉が、木を見た途端にヨロヨロと白梅に駆け寄った。
「おじいちゃん、待って! 」
輝利哉を追いかけてひなたも走る。玉砂利に足を取られて、おじいちゃんが転んだりしたらと思うとヒヤヒヤした。
「先生!大丈夫ですか! 」
ひなた達より先に白梅を見に来ていた男性が、素早く駆け寄って輝利哉を受け止める。
昨日の男性だ。不死川さんだ。
男性にとっても、慌てた輝利哉の姿は珍しかったのだろう。不死川さんは輝利哉を気遣うように身体を支えた。
「すみません、先生。昨夜の嵐で幹が裂けてしまったみたいだ…。保護してたんですけど、夜中の風が強すぎて飛ばされてる」
申し訳なさそうに言った不死川さんに、おじいちゃんは最初、呆然と白梅の木を見ていたけれど、不死川さんの手を握って伝えた。
「謝らないで。実弥、君が気にかけてくれたおかげで、木が根本から持っていかれなかった。それだけで有り難いんだ…。この木は、母が実家から持って来た一本の枝から増えた大切な木だから…。実弥はこの木を守ってくれたんだよ。実弥、本当にありがとう」
「とんでもないです。先生、木は修復できますか? 」
「私にも分からない。でも、諦めないでいよう」
二人は木に触れて話をしていた。そんな二人を、ひなたと父が見守っている。
「父さんの大切な白梅の木が…」
ひなたの隣に立っているお父さんが小さく呟いた。