第4章 白梅と月夜の友人
「鬼殺隊…」
輝利哉は静かに頷いた。
「鬼殺隊を率いていたのは、代々の産屋敷の当主である。しかしながら、産屋敷一族には呪いがかけられていたために、生まれた子供は長生きが出来なかった。だから神職の家から妻を迎えると、少し長生きできるようになる。
しかし、30歳を超える事は難しかった。歴代の当主は鬼を殲滅する為に命をかけた。おじいちゃんの父上である産屋敷耀哉は…ひなたのひいおじいちゃんだね。彼は当主の中で最も統率力に優れていたんだよ。
父上の周りには素晴らしい鬼狩りの剣士達が集まった。私が出会った彼ら…
その一人一人が立派な志を掲げて自分の命を鬼殺に捧げて闘った」
おじいちゃんの瞳には涙が滲んでいた。
当時を思い出しているのだろうか…そういう表情だった。
「私の…私の子供達……悲鳴嶼行冥、煉獄杏寿郎…胡蝶しのぶ…伊黒小芭内…」
おじいちゃんの口から、次々に誰かの名前がこぼれ出してゆく。初めて聞く名前でありながら、それぞれの名前はまるで戦士のように力強く、美しい響きを持っているのが印象的だった。
名前を呟く声は悲しげな、聞いていてとても切ない言い方だったので、その人達が誰なのか、聞こうとした時
「先生、いるなら入りますよ」
張りのある声がして、部屋の襖がズラっと開いた。
「お取り込み中すみません。今夜、予報で嵐が来るって言ってます。今のうちに白梅の木を固定しといた方が良いかと思って」
声の主は背の高い男の人で、銀色の輝くような髪をラフにセットした、目力のある人だった。
「俺、今からやっときます。縄で縛ってムシロを巻いて保護してきます」
おじいちゃんは立ち上がった。
「実弥、君に頼んでもいいかな。君は力が強いから助かるよ」
「気になったら夜中に来ることになりそうだから。風が吹き出すと厄介だ」
張りのある声だが響きは柔らかい。この青年の誠実さを表しているようだった。