第4章 白梅と月夜の友人
「おじいちゃんの大切な木なんだよね」
おじいちゃんのお父さんとお母さんのロマンスが詰まった記念の木から採ったんだ。二人が出逢ったからおじいちゃんが生まれて、そして私がいる。
ひなたは、ご先祖様である耀哉と、あまねから受け継がれた命であることを改めて感じた。
「ひなたは、私達、産屋敷家にとって大切な存在なんだよ。今日、ひなたが生きているのは、今日を作る為に命をかけた人達のおかげなんだ」
「命を?どういうこと? 」
祖父からこんな話を聞くのは初めてだったから、ひなたは思わず聞き返す。
今まで産屋敷一族に伝わる、闘いの話を良く知らないで育ったから、輝利哉の口から語られる言葉と、輝利哉の真剣な瞳がひなたの心を揺さぶる。
「ひなた、今こそ新しい世界を見る時かもしれないね。私はひなたに、この白梅を授けたいと思っておる。その意味が、わかるかな」
「分からないよ」
輝利哉は優しい微笑を浮かべる。
「暫くここに通ってみるかな?少しずつ、おじいちゃんがひなたに教えていこう」
輝利哉の真意は分からなかったけれど『新しい世界』という言葉に心が動いたひなたは頷いた。
「うん。明日も来るね。アオイさんのお手伝いをする事になってるから通うね。ところでおじいちゃん」
「なんだい」
ひなたは母に頼まれていた事を思い出した。
「お母さんがね、今夜おじいちゃんを連れて来てって。おじいちゃんの好きなご飯にするからって言ってたよ」