第4章 白梅と月夜の友人
「おじいちゃん!アオイさんのお手伝いをしていたの。遅れてごめんね」
ひなたは明るい笑顔で言う。輝利哉のいつもと変わりない穏やかな顔を見れたのが嬉しい。孫のそんな笑顔は、輝利哉の心にも慈しみを溢れさせていく。
「アオイさんに会ったかい。良い人だろう」
輝利哉はにこにこしている。
「うん!とても優しくお料理を教えてもらったよ」
「それは良かったね。ひなた、見てごらん」
おじいちゃんは白梅の盆栽をひなたの方に向けた。
「この前話したね。おじいちゃんにとっても、産屋敷家にとっても、この白梅はとても意味のある物だ。おじいちゃんはもう歳を取った。この先、この白梅を受け継いでくれる人に託したいと思っている」
輝利哉の言葉に、ひなたは思わず顔が曇りそうになる。輝利哉は孫が悲しそうな顔になったのに気付き、付け加える。
「と言っても、おじいちゃんはまだこの白梅の手入れを続けるから、ひなたは何も心配しなくていいんだよ」
そんな話をされると、ひなたの心は寂しさで一杯になる。
「ほんと?急にそんな事言うと、おじいちゃんがいなくなりそうでやだよ」
おじいちゃんがいなくなる…考えただけで嫌だった。
輝利哉はひなたの頭に優しく触れてポンポンした。
「いつかは、おじいちゃんもひなたとお別れする時が来るよ。だから、今ひなたとこうして過ごしている日々を大切にしている。
ひなた、この白梅は、おじいちゃんの母が、父とのお見合いの日に実家の神籬家から持ってきたひと枝から、挿し木にして育てたものなんだよ。この前話したね」