第4章 白梅と月夜の友人
「うわぁ、良い匂い!すっごく美味しそうです」
次々に焼きあがるのが楽しくて、ひなたは歓声を上げた。
「お昼ご飯を作る前に、オヤツを仕込んでおきたくて。今日は、バナナと苺と桃を生クリームと一緒に巻いたクレープなんです。みんな大好きなの」
「美味しそう! 」
その人は神崎アオイさんという人で、何年か前からここで働いていると言った。
産屋敷学校の生徒たちに食事を振る舞ったり、おじいちゃんを手伝ったりしてくれているらしい。
お昼ご飯の支度に忙しい時間に、ひなたが現れたにも関わらず、手を動かしながらハキハキと対応してくれている。
ひなたには、そんな神崎アオイさんがかっこいい人に見えた。
「お昼ご飯、先生と一緒にどうぞ。ご用意しますから! 」
「そんな、悪いです」
と言いながらも、台所を満たす美味しい匂いは空腹のひなたの胃を刺激する。神崎アオイさんの作るお昼ご飯がとっても食べたくなってしまったひなただった。
「いいんですよ。先生もよくお客様とご一緒にお昼を召し上がりますし、お孫さんなら先生も嬉しいでしょう」
「ありがとうございます」
せっかくなので、ひなたも神崎アオイさんのお手伝いをさせてもらう事になった。お昼ご飯用のポテトサラダのじゃが芋は、ホクホクに蒸されて良い感じに潰されていた。そこへお酢と調味料をささっと混ぜ合わせて、じゃが芋に下味をつけて、ひなたにも指示する。
「じゃあ具材にするハムを切ってもらえますか」
「はい」
と言って、ハムをどう切ればよいのか分からないひなたは、まな板の上のハムをしばし見つめていた。
「どうしました?切り方、分かりませんか」
ひなたが頷くと、ひなたに教えるためにゆっくりと、食べやすい大きさに切った。他にも胡瓜やにんじんなど、もう下処理された野菜が用意してあった。
「あとは混ぜるだけだからやってみますか」
ひなたがお料理が全くできない事はすぐにばれて、神崎アオイさんに教えてもらいながらマヨネーズを混ぜた。慣れないので混ぜ方もすごく下手だ。