第8章 ※ 誰を愛していたとしても…。
「それは、どういうことです…か」
「私、煉獄さんが誰を好きでも良いの。煉獄さんが元気で生きてくれたら良いと思う事にしたよ。私も、彼がいるでしょう? 」
千寿郎は頷く。
「四角関係ですね」
「うん。よく覚えてるね」
千寿郎は気になっている点について、訊いておく事にした。
「ひなたさんは、兄上のことを好きなのですよね⁉︎ 」
「好き。恋人がいても好き。尊敬もしてる」
「それは、接吻したいという事でしょうか」
ひなたは「? 」という顔をした。
「せっぷん、って…何だったっけ? 」
…国語の時間に聞いたような…。エッチな事じゃなかった?
ひなたはちょっぴり赤面しつつ千寿郎を押した。
「やだ…千寿郎君。まだそこまで考えて、ないよぉ!! 」
…不死川さんとの事があったから、なんだか生々しくてひなたは照れた。
「好きなのですね、兄上が」
「うん。大好きみたい」
「良かったです!! 」
ほっとした千寿郎が笑顔になったその時、足音と共に杏寿郎が入ってきた。
「何が良かったんだ?千寿郎」
パリッとした隊服に羽織り姿の杏寿郎だ。
座り込んで話をしていた千寿郎とひなたはビクッとした。
「お帰りなさい兄上!今日は早かったのですね!」
千寿郎がこの場を和ませるように明るく言った。
「ああ!急な任務が入れば出るが、今日は終わった」
杏寿郎の瞳は、ひなたを見ていた。暖かそうなジャケットを着ている。心配で早く帰って来たのだ。服装以外は問題無さそうだと思った。
「お、お帰りなさい。煉獄さん」
「ただいま。ひなた。変わりなかったか? 」
「うん。煉獄さんは? 」
「ありがとう、元気だ。二人共、何をしていたんだ?ここは涼しいな」
何を思ったか杏寿郎も胡座をかいて座った。自分も混ぜてもらうつもりなのだ。
杏寿郎は屈託のない性格をしている。彼は柱で立場も上だが、いつも躊躇なく人に歩み寄る。
ひなたは、杏寿郎のそんな姿も好きだ。親しみを抱かせる師範のそういう所が。
「ひなた、お館様やあまね様達と楽しく過ごせたか? 」
優しい瞳で訊いてくる。
…久しぶりに、師範と顔を合わせてる…。
ひなたは胸がきゅうっ、と鳴った。