第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
不死川はひなたを産屋敷家まで送ってくれた。ひなたは大正時代に戻る時には産屋敷家の白梅の木を経由する。
昨夜、こっそりと家に帰って着替えをした。夜中、寝静まった家に忍び込んでいると、コソ泥の気分がしたけれど、家族に会うと引き留められそうで何も言わなかった。
不死川さんの家に泊まらせてもらった昨夜の話だ。夜になったので愈史郎を呼び、杏寿郎を助ける為の助言をもらう事にした。
「不死川さん、愈史郎の連絡先を知ってたの? 」
呼び出しの間、待っている不死川さんに尋ねると、頷く。
「俺も知りたかったからなァ、お前の大切な煉獄さんの事」
短く言ってから少し笑う。
ひなたがその言葉に少しドキリとしていると、愈史郎が電話に出た気配がする。二人が話をしているのを側で待った。
「…じゃあ、俺の部屋に来てくれ。悪いな、後で」
不死川は電話を切り、携帯をパンツのポケットに入れた。
「夜が更けたら来るそうだ。まだ時間あるからゆっくりしよう」
時刻はそろそろ8時になろうとしていた。
「腹が減ったなァ。…何か作るか、ひなたは何が良い? 」
「ん?コンビニでも行く? 」
お料理苦手なので、便利なコンビニで賄おうとするひなた。
不死川はキッチンの台に片手を付き、片手で顔を覆った。
「それじゃ栄養が偏るだろーがァ。アオイさんに習ったので、何かない? 」
不死川は彼女の手料理を求めているのだろうか…。
最近はお料理よりも、師範と鍛錬に明け暮れていたので確実に、料理の腕は後退している。自信を持って言えた。
「可愛い彼女の、作ってくれた飯が、食べたい」
やはりだ。不死川さん、彼女の手料理を喜ぶタイプでしたか…。
「いっ、いいよ」
アオイさんという、名シェフの元で助手をやってきたひなただ。やってやれないことはない。やってもやれない事を忘れ、目の前にいる不死川がかっこいいので何か作ってあげる事にした。
「じゃあ、洗ったり切ったり、混ぜたりしてね」
「それ全部じゃなくねェか? 」
すかさず入った突っ込みを受け流して、髪を結ぶ。長い髪を結わえる仕草が可愛いくて、不死川はひなたを後ろから抱きしめた。