第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「しっ、不死川さん⁉︎ 」
目が合ったまま、二人共、暫く次の言葉が出てこなかった。
「…ひなた…一体… 」
どうやって家に入った?と聞こうとして、不死川は、ひなたが戻って来た事を悟る。
「いつ…帰ってきた…?…ああ、今だよな? 」
ひなたはコクコク、と頷く事が精一杯だった。とにかく、全裸なのが落ち着かない。
ドアを開けたまま、立ち尽くしている不死川さんと目が合ったまま、湯船の中にいたひなたは両手で胸元を隠した。
「お、お風呂に入ってたの…向こうで。気がついたら…どうしてかここに…」
お互いに全裸という、めちゃくちゃ恥ずかしい状況なので、目のやり場に困ってしまうひなただ。
「向こうの風呂から時間遡行して来たって事か…」
「そうみたい…」
不死川さんはこの状況に驚いてるからか、自分の前とか後ろ?とか、隠す事もしていない。
ひなたが見ないようにしようとしても、見えてしまう不死川さんの身体に赤面していると、不死川さんはようやく気がついたようだった。
「お…おい…。こっち見んなァ! 」
と、言いながら、何も隠すものがないので諦めて、
「会いたかったけど、再会場所が、なァ! 」
浴槽のふちに手を着いて、苦笑いしながら座った。
「…ほんとだね」
不死川さんに会いたかったと言われたのが嬉しかった。
「元気だった?不死川さん」
「ああ。ひなたは? 」
「私も元気だったよ」
「そうみたいだな。良い顔してる」
不死川は湯船の中のひなたの顔を見て、優しい顔になった。
「不死川さん、寒くない? 」
浴室は暖房で冷えてないとは言え、裸のままでいると体温が失われてしまう。
さっきから、この状態で話している事が気になって言うと、不死川さんは少し照れたように言う。
「一緒に入る事になるけど…」
「じゃあ、私が出るから!不死川さん入って! 」
急いで出ようとした肩を、不死川さんに押さえられた。
「出なくていいからァ…。俺が出る。ゆっくり身体温めてから出ろ」
…優しい…。
だから思わず、言ってしまう。