第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「う〜ん。私、思ったよりも成長していたのかな」
産屋敷家の大きな浴室。たっぷりとしたお湯に浸かり、全身を伸ばして癒されながら、今日の昼間の出来事を思い出していた。
「鍛錬のおかげなんだよね…師範の…」
ひなたは自分の身体を見ながら一人で呟いた。
体型とか、見た目はそんなに変わってはいない。だけど、前よりも引き締まった感じはする。長く走れる身体、強い下半身。煉獄さんはひなたを、隊士になれるよう導いてくれていたんだって実感していた。
「煉獄さんに、何も言わずに来て、悪かったな…」
煉獄さんは怒っているだろうか。小さな事はあまり気にしない人だから、昨日の事はもう何とも思っていないかもしれない。
強くて明るい、さっぱりした人だもんな…,
明日は、午前中には煉獄家に戻ろう。そしてまた鍛錬するんだ。
ここまで育ててくれた煉獄さんに、ひなたができる事。それは、継子としてもっと頑張る事ではないだろうか。
「頑張ろ。煉獄さんに好きな人がいてもいい。私がここにいるのは、煉獄さんに生きてもらう為なんだから」
ここにいる目的を自分に言い聞かせた。
気持ちはまだ落ち着かないけれど、頑張るしかなかった。
「よし、お風呂から上がったら、寝よう!明日に備えるんだ」
前向きになれている自分に驚いた、その時。
「な…なに⁉︎ 」
浴槽の中のお湯が、渦を巻きだした。まるでうず潮のような水の波紋に驚いて、浴槽から飛び出そうとした時、ひなたの視界はまたグニャリと歪んだ。
「…えっ!また帰るの…だめっだめっ!今はまだ、ダメぇ〜!! 」
と、叫んでみても、お水は渦を巻いてひなたを包んでいく。
「えっええええ〜!! 」
また、ひなたの身体は時を超えていく…。
「…ひなた…」
「えっ、ええーーっ!! 」
「…マジか…」
ここは…!!
懐かしい声にハッとした。
不死川さんと目があったまま、二人とも固まる。
不死川さんは全裸で、ここは不死川さん家のお風呂で、お風呂に入ろうとした不死川さんが浴室で目にしたのは、同じく裸のひなただった。