第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「兄上と大河内さんとは、幼馴染なんです」
赤い顔をして帰ってきたひなたを見た千寿郎は、急いでひなたをお風呂に入れてくれた。
服も土で汚れていたけど、顔にも土が着いていて、ひなたは泣いていて、もう千寿郎はびっくりしてしまった。
風呂上がりのひなたの部屋で、千寿郎が話してくれた。
「兄上には、花嫁候補が何人もいるのですが、その中でも大河内さんのお家は繊維を作る会社をなさっていて、鬼殺隊の為の新しい素材の開発をされているんです。
その関係もあって、昔から父と大河内さんは知り合いでした」
「そうだったの」
「はい。だから幼い頃から兄上と大河内美也子さんは仲が良かったように思います。
ひなたさんは…その…兄上のこと…」
千寿郎の頬が赤く染まっている。
「好き。でも、言ったら駄目だって分かってるの。私にもいるんだ、恋人」
「それは三角関係というものですか? 」
「そうなのかな…。三角、いや四角かな…四人だしね」
「ふぅ〜ん…」
…恋って、複雑なのだな…。
何かを学んでいく千寿郎。
「千寿郎君、この事は二人だけの秘密にしてくれる?煉獄さんには、私が好きだなんて言えないもん」
千寿郎は頷いた。
「分かりました。でも、ひなたさん」
「ん? 」
千寿郎は、赤い可愛い瞳でひなたを見つめた。
「今日みたいに、一人で泣いたりしないでください。俺に話してくださいね」
ひなたは泣いてしまいそうになった。
「ありがと!千寿郎君は本当の家族みたい。大好き」
「俺もです」
煉獄家の人らしく、凛々しく言った後で、千寿郎は真っ赤になった。
そして、ひなたは決めたことを千寿郎に告げる。
「明日、私、朝から産屋敷家に行ってくるね。この鬱金香とお土産を持って行きたいの。泊まってくる」
明日、杏寿郎と顔を合わせる自信がない。煉獄さんと大河内美也子さんの二人のあの雰囲気、あれは、付き合っている感じだったもの。
煉獄さんに恋人がいる事。悲しいけど、煉獄さんにいない筈ない。
あのヘアスタイルがあれ程似合う人って見たことない。個性強い髪を受け止める品の良い額とか綺麗な顔。
煉獄さんを構成する要素の素晴らしさは、実際の煉獄さんを見たら誰もが分かるもの。