• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

『鬼滅の刃』桃寿情炎シリアル

第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え


「本当に練習したのか? 」

 厳しい声で言われ、ひなたは飛ばされた竹刀を取りに行く。

「さっと拾え!構え!! 」

 涙を滲ませながら、竹刀を拾った。ひなたの華奢な手が、震えながら竹刀を掴むのを、杏寿郎は見ている。

「返事がないぞ」

 黙って杏寿郎の前に戻り、構える。でも、顔は真っ赤で、手が小刻みに震え、涙を堪えるだけで精一杯だった。

 涙で滲みかけた瞳では、師範の姿を正確に狙う事などできなかったが、力をふり絞り竹刀を振り上げた。

「…やあああっ…!! 」

 直後、竹刀を掴まれて、その竹刀ごと吹っ飛ばされてしまった。

 庭の土の上に、叩きつけられたひなたは、身体の痛みでうめき声を上げた。

 …痛い…。立ち上がるには気力がいるのに、気持ちがついていかない…。

「立たないのか」

 師範の容赦のない声が、倒れたひなたの上に叩きつけられたが、ひなたは横たわったまま、すぐに動こうとしなかった。

 杏寿郎の鍛錬は、普通はここからが本番である。杏寿郎の指導を受けた者なら、誰もが知っている。

 優しい時と、極限まで追い込む時と、使い分ける。

「ひなた」

 ひなたの反応がいつもと違うので、杏寿郎はひなたの側まで来て、腕を取り上げた。

 普段のひなたなら、きつくても笑いながら杏寿郎に引っ張ってもらって、また構えるのに。

「あー、汚れちゃった」

 何度も起きあがり、不満を言いながら頑張っていた。

 今日のひなたは、動こうとしなかった。

 打ちどころは悪くなかったので、そこは心配ないが、起きない継子の元に歩み寄った。

「まだ、休憩には早すぎるぞ。起き…! 」

 語気をさっきより柔らかくしてひなたの顔を覗き込んだ杏寿郎は、次の言葉を飲み込んでしまった。

 ひなたの目から、とめどない涙が流れていて、周囲の土の色が変わるほど濡れていた。

「…………」

 杏寿郎は思わず言葉を失った。

「ひなた……」

「なぜ…泣いてる…」




 
/ 405ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp