第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
数軒の民家の灯りが目に映る。
「わからない…。あの木のとこらへん? 」
ひなたは目を凝らして見たが、鬼の姿はわからない。
「まずは気配で探るんだ。もう少し降りてみよう」
杏寿郎に手を引かれ、山道を下る。
丁度良い、大きな木の影になる場所から里を見下ろした。
鱗滝さんの家から更に里に降りて来たから、ここは人里で、畑とかお寺とかがポツポツとあって、ひっそりとしてはいるけれど人の暮らしがあった。
「今夜は、村の祭りか」
杏寿郎の視線の先には、村人が数人連れ立って歩いているのが見えた。大人やお年寄りや小さな子供までが、それぞれに提灯をぶら下げ、中にはひょっとこの様なお面を頭にちょこんと飾っている人もいる。
「どこかに向かってるね、お寺かな? 」
ひなたも、そんな人たちを見ていて、何事だろうと思った。
暗い道の奥から、またぞろぞろと数人の家族らしき一団がでできた。
やはり提灯を持ち、そしてお供え物なのか、まんじゅうのような皿を手にした女性も、ちらほらいる。
「こんな夜更けに、みんな一体、何してるの?」
もう12時をとっくに過ぎているはずなのに…。こんな時間に、この里の人は参拝なのかな。
木の影で、身を寄せながら囁くと、杏寿郎の声がひなたの頭のすぐ上からした。
「そういった風習が残っている地域もあると聞く。日付の変わる時に、先祖の御霊をお迎えに行ったりだとか、祭祀が始まったりするんだ」
「へえ〜!! 」
ひなたは、再び軽い眠気が来そうな目をして言った。
「もう寝る時間だよ…」
すぐ側にいる杏寿郎にもたれて眠りたい…。
「ひなた、寝るのは帰ってからにしろ。下、すぐ下の方だ。見て」
杏寿郎に促され、目線を向けると、人間とは明らかに違う者が木の影から里を見ていた。歩いていく人達を物色しているかのようだ。
こちらは大人の男のような体をしている。少し離れた場所から見ても、肩のムキムキ具合とか、化け物っぽくて不気味だ。
「煉獄さん、怖い…」