第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「ひなたの大切な人と見ているのかという意味だ」
煉獄さんがひなたの方を向いている。目が合う。
「…それは…うん。好きな人…と、うん」
「そうか」
ひなたの脳裏に不死川さんの顔が浮かんでいた。今、お付き合いしている恋人の不死川さん。
「ひなたの大切な人は、どんな方なんだ? 」
ひなたの頬がほんのりと赤く色づいた。それが杏寿郎にも見える。
「し、不死川さんは…その…」
煉獄さんに不死川さんの話をするのは、なんだかとても緊張する。
「すごく、優しい人だよ。私の家族も、大切にしてくれてて…」
煉獄さんの目が見開いていた。
「不死川なのか。君の、恋人は」
ひなたは慌てて手をぶんぶん振った。
「ちっ、ちがっ!あのね、不死川さんは不死川さんだけど、不死川さんのまごっ…」
言いかけたひなたの唇を手で塞いだ大きな手。
「静かに…。気配がする…二体か…」
杏寿郎は自分の間合いにひなたを引き寄せる。
「ひなた、ここからあの民家の灯りのある場所までの間に、鬼がいる。逃げられないように、こちらに気がつく前に近づく。声は出さないように」
煉獄さんは囁くように言ったので、ひなたはこくこく、と頷いた。
「よし」
杏寿郎は静かに移動する。ひなたには鬼の姿は見えなかった。