第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「塩と間違ってお砂糖でおにぎり作る人なんていないよっ」
言って吹き出したひなた。煉獄さん、天然だ!
「小さな壺に入っていたんだ。塩だと思った」
「煉獄さんのおにぎり没収だね! 」
さっき上手くいったから、ひなたはもう一度、杏寿郎のおにぎりをかじろうとした。
杏寿郎が素早く躱した為、ひなたは勢いよく杏寿郎の胸に顔を突っ込んだ。
「っあ! 」
とんっ、と硬い胸にぶつかる。師範の筋肉質な胸の感触で、昨晩の事が蘇ってきた。
「…ごめんなさい」
悪ふざけが過ぎた気がして謝ると、すぐに返事が返ってくる。
「いや。すまなかった。一緒に食べたくて作ってみたが、失敗であった」
「そんな事ないよ。私より、ずっと上手いね、おにぎり」
煉獄さんが初めて作ってくれた手料理だと思うと、すごく貴重なものに思えてきて、その優しさが嬉しかった。
「ひなたよりは、上手だったかもしれんな! 」
数日前、ひなたが作った激塩辛いおむすびを食べさせられたことを思い出し、杏寿郎はクスリと笑ってしまった。
「美味しい!煉獄さんのおにぎり、おいしい」
「そうか。これも美味いな」
ずっと遠くまで続くような、緑色の草原の真ん中に、たった二人。
甘いおにぎりを仲良く食べている。
「食べたら、鱗滝さんと千寿郎の所へ戻ろう、ひなた」
「そうだね」
昨日からずっと二人でいて、それも楽しかったと二人共に感じていた。口には出せなかったけれども…。