第3章 必要とされないモデル
翌朝、家を出たひなたは外堀公園を走っていた。モデルの仕事をしていると、体型維持のためにピラティスやヨガをしたりジム通いをする人も沢山いるけれど、ひなたは一人で走る事が好きだった。
週に三日は家の近くにある公園を走る事にしている。今朝も早起きをして走りに来た。昨日の今日でまだ心が痛くて、本当はベッドから出ないで寝ていたいのが正直なところだ。
家族に不信感を抱かれないように、今までと同じような行動をする。
ただ走る事に集中していると、汗と一緒に悲しみも流れていったのか、スッキリした気持ちになっていた。
「さて、この後は就職活動だ! 」
近くのベンチに座り、携帯を取り出して就職情報アプリを検索してみる。
何をしたら良いか分からなかったので、とりあえず画面に出た建設会社の求人に応募してみる事にした。
向こうから連絡が来るまで、家に帰り身支度を整えておく。
10時過ぎに連絡があり、午後からの面接に来るように言われたので、その時間に間に合うように家をでる。
駅のトイレで鏡をチェックすると、紺色のスーツを着た自分は、紳士服の広告に出ていた事を思いだす。
春色の就活服、としてCMにも出た。
まさか、今、こうして本当の就職活動をする事になるとは、夢にも思わなかったけれど、働かなくては今後の生活が不安定になってしまう。
実家で家族と暮らしているけれど、何もしないで家にいるわけにはいかない。
緊張しつつ、駅を出た。