第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
目を閉じて待つひなたの手を杏寿郎が取る。
…手…を握るの…?次は…何…?…
胸が僅かにドキドキした。私は期待しているの…?
そんなひなたの手の平の上に、杏寿郎はポン、と温かい物を載せた。
「さぁ!受け取ってくれ!! 」
「…えっ⁈…」
てっきり唇に唇が降ってくるのかと思ってしまった。
「…わ…わあ!!おにぎり⁈ 」
恥ずかしくなって、ごまかして元気な声をあげるひなたに、杏寿郎はキラキラした瞳でニッコリ微笑んだ。
「戸棚に米櫃を見つけたんだ。鱗滝さんが用意してくれていたものだ。だから米を炊いて作って来た!ひなたに食べさせてあげたくてな」
温かい。杏寿郎の優しさが手の平からじんわり伝わってくる。
「……ありがとう…」
師範は、ひなたのちょっぴり不埒な思いを超越した良い人なんだと思った。
なんというか、純粋で真っ直ぐだ。あんなムキムキな肉体美をしていても。
「よし、俺もまだ味をみていないんだ。共に食べよう! 」
「うん! 」
杏寿郎はひなたを促して草原に腰を下ろす。
おむすびは竹の皮に包んであり、蒸気が程良く抜けていてピカッとしていた。
「丸い形なんだね。かわいい」
ひなたは膝の上に置いて包みを広げると、歓声を上げた。
そういえば、昨日のお昼に鱗滝さんと千寿郎君とお弁当を食べたきりだった。
「腹が減っただろう。食べるといい! 」
「うん!いただきます、煉獄さんっ」
「ああ!! 」
とてもにこやかな笑顔の師範に見守られる中で、ふたつ並んだ砲丸のような形の丸いおむすびを一つ手にとった。
杏寿郎ももう一つを手に取る。