第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
身体を覆っているのは、綿素材の薄い布一枚だけだった。それにくるまっている。床から伝わる冷んやりとした冷たさと、外からの冷たい隙間風。
囲炉裏の炎がなければ、かなり寒かった。
煉獄さんは静かに寝ているようだ。横になった時は少し話もしたけど、あれから1時間以上は経ったのだろうか。煉獄さんは静かになった。
…眠ったのかな…?煉獄さんも、疲れてるよね…。
何度も滝壺に飛び込んで、溺れたひなたを助けて、土砂降りの中をひなたを背負って沢山歩いたし…。
お隣をそっと見ると、薄暗がりの中、仰向けで目を閉じているっぽい煉獄さんの顔が見えた。
…良かった。煉獄さん、寝てるみたいだ。
降り止まない雨の音を聞きながら、一人で起きているのも、ちょっと寂しいけど…。煉獄さんが休んでくれているのを見るとほっとした。
…私も眠ろう。ひなたは裸の肩に布を掛け直すと、煉獄さんと同じように仰向けになった。
目を閉じると、ぷるるっ、と身体が震えた。
その時、寝ているかと思っていた師範の低い声がした。
「眠れないのか…」
「煉獄さん!寝てなかったの? 」
顔を上げ、ひなたより背の高い煉獄さんの方を見た。
「囲炉裏の火が消える前に、薪をくべようと考えていたんだ。効率良く燃やそうと思って、残りの薪の量と燃え方を計っていた」
煉獄さんはひなたの方にくるり、と身体の向きを変えた。
「少し眠くなってきた時、ひなたが俺の方を見たから目が覚めた」
薄暗い部屋の中でも、煉獄さんの瞳が煌めいていた。優しさを含んだ明るい瞳でひなたの方を見る。
「雨音が怖くて、眠れなかったか? 」
ひなたの顔を見ながら話す煉獄さんの声は穏やかで、煉獄さんの掛けている布から裸の肩が見えた。綺麗な肌はまだ10代のものと思わせるに十分で、肩から胸にかけて筋肉が隆起している。