第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「うん。鱗滝さんがいるから、千寿郎君は大丈夫だね」
杏寿郎は頷く。
「ああ。千寿郎を鱗滝さんに会わせてやりたかったんだ。鱗滝さんは育てとしても人としても、見習う所が沢山ある。ここに来て、千寿郎はより自由になれたように思う」
「千寿郎君は明るくなったよね!自分のしたい事を言ったりして。お家にいる時と変わったって思ってた! 」
ひなたが言うと、杏寿郎は大きく頷いた。
「君もそう感じていたか!千寿郎の心は成長したと、俺はそう感じていたんだ。煉獄の家にいると、父と二人でいる事が多いせいか、どこか物静かな子だ。家に帰れば、また同じ状況ではあるが、千寿郎なりに対処の仕方も変わってくるかもしれん」
「そうだね!私も、千寿郎君を見守ってるよ」
ひなたは弟のような、お友達のような存在の、優しい千寿郎の事を思い浮かべて優しい笑顔になった。
「…そうだな。ひなたがいてくれるのも、千寿郎にとって良い事だな」
ひなたを見つめて温かい口調で言った杏寿郎に、ひなたの胸が急に、きゅっとなった。
慌ててお茶を飲んで、小さく騒ぐ胸を落ち着けた。
さっきから、煉獄さんの言葉や表情、煉獄さんを見ては、胸の中が変になっていて、自分でも不思議になる。
「さて、少し早いがもう寝るとするか」
「えっ⁉︎ 」
ゴウっと外の嵐に負けないくらい、大きな声で言ってしまった。
「まだ早いが、疲れただろう。今日、君は体力を使ったから、無理をせずに休んだ方が良い」
時計を見ると7時に近かった。いつの間にか夜になっている。
囲炉裏から少し離れた場所に、敷布団とまではいかないけれど、大きめの布を敷いた。それは丁度、大人二人が横になれる位の大きさで、ラグみたいな感じの物だ。
煉獄さんが最初に寝て、ひなたも横になる。
「途中で消えるかもしれんが、火はつけたままにしておこう」
「うん」
煉獄さんが寝る前に掛けた隊服と羽織が、ぶら下がっているのが見える。明日の朝には乾いているだろうか。ひなたの服もだ。
「寒いだろう。服を着ていないから」
「…ちょっと」
裸で横になると、火が燃えているとはいえ寒かった。