第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
夏の夕暮れとはいえ、荒れた天候の中では日暮れも早かった。外は激しい雨が降り止まず、風の音もびゅう、と鳴っている。
すっかり暗くなっている部屋で、煉獄さんのつけてくれた囲炉裏の炎だけが明るく暖かい。
向かい合って座り、炎を見つめて時を過ごしていると、ほっとするような、なんだか落ち着がないような気分になってきた。
「ひなた、寒くはないか? 」
「うん。大丈夫だよ」
炎を見つめていたひなたは、不意に話しかけられて顔を上げた。
「さっきは、すっごく濡れたね。煉獄さんは寒くない? 」
炎の向こうに見える煉獄さんの顔が、はっきりと見えた。明るく燃える炎と同じ色にも見える瞳。綺麗で凛としている。
真っ直ぐに見られている視線に照れてしまいそうで、ひなたは体操座りをしていた脚を横向きに組み直す。
その瞬間、下着をつけてなく、全裸だった事を思い出した。
「…あっ…! 」
煉獄さんに見えなかったかな…ドキドキしつつ、身体に掛けている布で慌てて隠した。
「俺は大丈夫だ。濡れたが寒くはない。ひなた」
「…ななな、何っ? 」
声がうわずった。
「温かい物でも淹れるか。湯が沸いた」
火をつけた時に一緒に鍋をかけておいてくれたから、鉄鍋の中ではお湯がたっぷりと沸いていた。
「お茶ね!私、淹れるね」
立ちあがろうとしたら、それよりも早く杏寿郎が立ち上がる。隊服を着たままの師範はまだ濡れていて、髪はだいぶ乾いたようだけど、水分を含んだ隊服の方は重たそうに見えた。
「俺がやるから、君は身体を温めるんだ」
「…ありがと…」
また座り直す。煉獄さんばかりに全てさせてしまって、申し訳ないと思いつつも、さっきから煉獄さんが頼もしく、なんだか胸がざわざわ、騒めくような感じだ。