第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「煉獄さんの嘘つきーーっ!! 」
ひなたの叫び声が狭霧山の滝にこだました。
「…杏寿郎。女性にはキツいのではないか? 」
「兄上!ひなたさんが怪我をしたらと思うと心配です!! 」
鱗滝と千寿郎もちょっと心配そうにしている…。
いつもの羽織りを脱ぎ、隊服から、水に入ってもOKな軽装に着替えた杏寿郎が、ひなたを滝から飛び込ませる、という鍛錬を始めるところだ。
「ひなた、俺が先に飛ぶから、できると思ったら呼吸を整えてやってみろ」
プールから飛び込むのとは高さが違う…。
「ねぇ、ここから飛んで、私生きてる?…煉獄さん、さっき私と千寿郎君を守るって言ったよね!! 」
とんでもないスパルタ師範だ!ひなたは千寿郎に縋りついた。
そんなひなたを、千寿郎もよしよしする。
「兄上ぇ、これは怖いです…」
千寿郎も飛ぶチャンスではあるものの、なかなか勇気が出ない。ひなたの前に飛んでみせて、大丈夫だよと言ってあげたいが、手が、足がぷるぷるした。
「呼吸が出来たから、次に進みたいんだ。俺は無茶を強いるつもりはない。今より更に強くなる為の通過点だぞ」
千寿郎は思った。兄上に、継子がいない筈だと…。
いや、これが柱の基本なのかもしれない。現に、鱗滝さんは静かに見守る事にしているではないか。きっと、元柱の鱗滝さんにとっても、これが普通なのだろう。
どうする⁈ひなたさん!!
千寿郎はドギマギしながらひなたを見た。
白い顔を更に白くして倒れそうに見えるひなたは、この時代に来た事を後悔するほど怖かった。
でも、逃げてしまいたいとは思わなかった。杏寿郎を死なせる訳にはいかない。
「…わかった。やるから、ちょっと待って」
「ひなたさんっ!! 」
千寿郎君に大丈夫、と目で返事をして、ひなたはその場に腰を下ろした。