第3章 必要とされないモデル
「花澤建設のお仕事は、愛に変わるの。先方からの希望でね。愛の持つフレッシュさ、一生懸命さが花澤建設の企業イメージに合うんですって」
ひなたの身体から力が抜けていった。最後の頼みのような、自分の担当のお仕事までも自分から逃げた。
ひなたは頭を垂れ、うなだれた。
自分では駄目だと、烙印を押された気がした。這い上がれない程の強いショックは、身体を一瞬で冷やしてひなたに現実を突きつける。
「よく、わかりました…。今日も午後からは私の撮影はないんですね」
愛ちゃんはカメラマンの近藤さんと話をしていた。私は呼ばれていない。それは午後の撮影に私はいらないからだろう。
慣れた自分には、午後からの撮影も、こなせる自信はあった。
でも、自分が持っている自信と、向こうの要求は関係ない。
「荷物をまとめてから、帰ります」
いつもより声が弱々しい。ひなたは自分に力が残ってないのを感じていた。社長にも伝わっているだろう。
「今月一杯は所属しているから、仕事があれば連絡します。私の言ったこと、よく考えてね」
ひなたはそれには答えずに頭を下げた。
スタジオに戻ろうと振り向くと、スタジオのスタッフ…ヘアメイクさん達やブランドの広報、撮影のスタッフ…沢山の人達がこちらを気にしているのが雰囲気で伝わってくる。
産屋敷ひなたは、もう終わったモデルだと、皆がそれを知りながら、今日の撮影に臨んでいたのかな…。
ひなたは自分専用の椅子に置かれた自分のバッグを手に取ると、近くにいたスタッフに声をかける。
「では、お先に失礼します」
「あっ…ひなたさん…」