第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「ひなたさん、もう寝ましたか? 」
三つ並んだお布団の真ん中に寝ている千寿郎が、小さな声でひなたに話しかける。
「ん?まだ起きてる」
真っ暗にした部屋で三人並んで寝ていると、全然怖さを感じない。やっぱり一緒に寝てもらって良かったと思った。
「眠れないのか」
杏寿郎の声が暗い部屋に響いた。透明感のある落ちつく声だ。声で安心する。
「ううん。煉獄さんと千寿郎君と一緒だから嬉しいだけ。もう寝るよ」
暗い中で、千寿郎と杏寿郎が優しく笑った気配がした。
「明日は、どんな鍛錬をするの? 」
煉獄さんもまだ起きているみたいだから、聞いてみた。真っ暗な中で煉獄さんの声が聞けたら嬉しい、そんな気持ちも僅かにあった。
「明日の朝は、山の中を走る事から始める。この山には鱗滝さんと職人が仕込んだ罠が沢山ある。ひなたにはまだ無理だから、始めは山の障害物を避けながら走り、刀を使えるようにする。慣れたら、呼吸の練習。これは今もやっているから、もっと出来るように鍛える。滝から落ちながら呼吸に慣れる練習は、3日目からしよう。最終日は罠を避けつつ、この家まで帰って来る練習だ」
「ヒッ…! 」
千寿郎が声をあげた。聞くだけで胸がドキドキする…。
「まあ、1週間あるから余裕だろう! 」
「…ん?ひなたはもう寝たか、千寿郎? 」
杏寿郎は、静かになった部屋の空気感を感じた。
「…………煉獄さん、寝れなくなった………」
泣きそうなひなたの声が小さく聞こえた。なんだか小さな女の子みたいで、千寿郎も杏寿郎も、可愛いと思った。
「心配するな。ひなたに合わせてやるから。とにかく、怪我のないよう万全の体調でやることが肝心だ。俺がついている、だから心配せず眠れ」
「俺もいます。ひなたさんを見守りますから…」
少し枕が濡れてしまいそうになっていた。鬼殺隊に入りたいとは思ったけど、鍛錬は甘くはなく、モデルしかやった事のない自分には大変だった。
「煉獄さん、千寿郎君。私、大丈夫かな」
「ひなたには素質がある。だから、俺はこうして合宿にも連れて来ている。君も、その為に戻って来たんだろう。俺と、千寿郎を信用しろ」
杏寿郎の静かな声がする。色んな思いがひなたの中にはある。