第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい!ひなたさん」
「ひなた、おやすみ。しっかり眠れ」
鱗滝さんの家は奥に二部屋あり、一つを鱗滝と杏寿郎兄弟、もう一つをひなたが使わせて貰う事になった。
夜も耽る頃、挨拶をして部屋へと戻る。高地での夜、一人の部屋に少しだけ不安になってしまった。
不安な顔をしていたのが分かったのか、千寿郎が心配そうに聞いてくる。
「ひなたさん、怖いですか?兄上、ひなたさんも一緒に寝てはどうでしょう。初日だから怖いのです、きっと」
千寿郎も、もしも一人で眠れと言われたら、少しだけ怖かったかもしれない。だからひなたの気持ちがわかった。
「…だっ、大丈夫だよ。隣の部屋には皆がいるし。ただ、三人は一緒でいいなって、ちょっと思っただけだから」
「兄上…」
ひなたは見るからに寂しそうに見えて、千寿郎はひなたを一人にする事が堪らなくなってしまった。
「…むぅ…。そうは言っても千寿郎、ひなたと一緒の部屋は如何なものかと思うぞ」
杏寿郎は、自分を見上げている千寿郎を見て、それから少し離れた場所でもじもじしているひなたを見た。
杏寿郎も青年なので、年頃のひなたと布団を並べて寝るという考えは始めから持っておらず、ひなたを心配する千寿郎の成長を感じて、それが嬉しい。だが…。どうしたら良いか考えあぐねていた。
「私なら大丈夫だよ!一人で平気、おやすみなさい! 」
19歳にもなって、一人部屋が怖いなんて、しかも合宿場所で言うなんて許されない気がして、ひなたはお部屋に戻ろうとした。
「三人で、寝るといい」
風呂に入っていた鱗滝さんが、話を聞いたのか杏寿郎達の側に来て言った。
「杏寿郎と千寿郎と、一緒に寝てやるといい。山の上だから寂しいのだろう」
鱗滝さんがそう言うので、杏寿郎は女子と寝る事が咎められる行為ではないと思う事にした。隣の千寿郎もホッとした顔をしている。
「そうさせて貰うとするか!ひなたが慣れるまで。よし、千寿郎、ひなたの部屋に布団を運ぶぞ! 」
「はいっ! 」