第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「千寿郎君、なんかワクワクしてくるね! 」
「はい!お天気にも恵まれて良かったです!ひなたさん、あの鳥、何でしょう⁉︎ 」
車はだんだんと田んぼの多い地域にさしかかる。瑞々しい緑色の稲が揺れる水田の上空を野鳥がすっと横切る。自然豊かな田舎の風景の美しさに、ひなたも千寿郎も、さっきからはしゃいでいた。
駒沢村の住宅街から離れると、旅の気分も盛り上がってきて、ひなたにとっても初めての田園風景が新鮮だった。
「あっ、ほんとだ!綺麗なブルーの鳥だね!なんだろう⁉︎ 」
青く晴れた空を飛ぶ鳥の、見事なブルーの羽。二人は歓声をあげて空を眺める。
「あれは、青鳩だ。珍しいな! 」
ひなた達の方へ僅かに身を乗り出した杏寿郎は、流れゆく車窓から外を眺めて言った。
杏寿郎の綺麗な横顔がひなたの目の前スレスレに近づいている。狭い車内だ。少し動けば三人並んでいる為、身体はおのずと密着するのだ。
「尾の部分までが青く美しいな…」
窓の外に呟くように言った杏寿郎に、千寿郎君は嬉しそうだ。
「兄上、西洋の童話の青い鳥とは、あの鳥の事でしょうか? 」
杏寿郎はそんな千寿郎君に優しい笑顔になった。目が細くなるような、温かい煉獄さん特有の笑顔がひなたの胸に沁みる。
また煉獄さんに会えた嬉しさでじーん、となった。
「そうかもしれんな!幸せの青い鳥と言われると、そう信じられる程に美しい」
「そうですね!青い鳥を皆で見ることができましたね! 」
千寿郎君は嬉しさを一杯にして言った。色白の可愛いらしい顔が喜びで綻んでいる。ひなたもそんな千寿郎君が可愛いくてニッコリした。
「そうだね!みんな幸せになれるよ!一緒に見たから、一緒に幸せになるの! 」
「ははは!ひなたは良い事を言うな! 」
明るい声で言ったひなたに、杏寿郎も千寿郎も笑い出す。
車はどんどん田園地帯を通り過ぎてゆく。