第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
初日、煉獄さんがひなたを連れて煉獄家に着いた時、出迎えてくれたのは千寿郎君とお手伝いの女性だった。
こんなに広い家に、使用人の人達はいなくて、家のほとんどを千寿郎君とお手伝いの女性の萩さんとでやっているという事だった。
平屋の堂々とした日本家屋の邸宅は、季節のお花が生けられていて、シックな花器に石化柳と小さな蕾をつけた椿がなんとも美しく、お屋敷にしっくりと馴染んでいた。それぞれの部屋にも向日葵が生けてあったりと、静かな家の中に華やかな部分もある。
美しい花々が描かれた襖絵が並んだお座敷もあり、煉獄家が格式のある立派な家柄だということが随所に感じられた。
おじいちゃんの輝利哉の家を見慣れたひなたでも、大正時代の美しいしつらえの大邸宅を訪れてみて、その削ぎ落とした美と上質な暮らしを素晴らしいと思わずにはいられなかった。
…やっぱり、昔の人の美意識は凄いなあ…。
煉獄さんに部屋を案内されながら進み、主のものと思われる部屋の前で、煉獄さんは立ち止まった。
「父上、杏寿郎です。失礼します」
丁寧な言葉で部屋の中にいる主に声をかけると、煉獄さんは静かに襖を開けた。
「父上。お話した産屋敷ひなたさんです。今日から、俺の継子として、この家で共に生活します」
庭に面したその部屋で、縁側に立っていたお父さんにひなたを紹介すると、お父さんは無表情ながら振り向いてひなたを見た。
「お世話になります。産屋敷ひなたと申します。宜しくお願いします」
着流しを着た、背の高いイケメンな中年男性に少しドキドキしながら挨拶をすると、そんなひなたの姿を見て、槇寿郎が僅かに驚愕している。