第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
煉獄家に来てから、全ての部屋を案内してもらって、雨戸や窓拭きがひなたに課されたお仕事になっていたけれど、一つだけ、煉獄家の中に立ち入れない部屋がある。
「ひなたさん。お好きなように部屋を使って下さい!自分の家のように、気兼ねなくお過ごしくださいね」
千寿郎君はひなたにそう言った後、少し言いにくそうに話した。
「父の部屋の雨戸は、父が開けますので、そのままにして下さい…。窓のお掃除も、僕が様子をみてやりますから…」
少し頬を赤らめて話す千寿郎君の様子が寂しそうで、ひなたは気になってしまった。
「煉獄さんと千寿郎君のお父さんでしょう?私がお掃除してはいけないの? 」
「だっ、駄目なんです…。ひなたさんにも理由はすぐに分かると思います。兄上も、ひなたさんに父上を紹介した時、短い時間で終わらせたと思います。父は難しいところがあるから…。だから…」
少し泣きそうな顔をした千寿郎君が悲しそうで、ひなたの胸は切なくなった。
「…そう。うん!分かったよ。お父さんのお部屋に近づかないように気をつけるね。居候がウロウロしてたらお父さんも気になっちゃうもんね!大丈夫。うまくやるよ」
千寿郎君の肩をポンポンして言った。ひなたより随分小さな背丈の千寿郎君は、お兄さんと違っておとなしそうな少年に見える。
顔の雰囲気とか髪の色なんかはよく似ていて、とても上品な兄弟だと思った。
お父さんも、キリリとした男の人だったと思い出す。