第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「疲れたのは、頑張ったからだな。だが、廊下を拭き上げるまでは終わりではないぞ。さぁ!はじめ」
杏寿郎は続きをやれと言う。
ひなたは雑巾を持って、杏寿郎をジロ見した。
「ねえ!煉獄さん。ここに来てから毎日、早朝からお家磨きしてるの。元々綺麗だったのに、もっと磨けって言うから床が滑り易くなってるよ。昨日も転びそうになったし、千寿郎君もツルッてなってたよ?まだやるの? 」
杏寿郎は涼しい顔をして頷いた。
「磨いたから気持ちが良いな!明日もやるんだぞ」
ひなたはピクっとした。
「明日も?なんで⁈ それに、私がお家磨きしてる時、煉獄さん何してるの?全然いないじゃない⁈ 」
まさか寝てるとか…。こっそり消えてるんだから。
ひなたのジト目線を受けた杏寿郎は、手にしていた手拭いを、空中で綺麗に折り畳みながら答える。
「俺はその時間は鍛錬していた。道場で剣の練習を終わらせて、道場を磨いた後は、裏庭で岩を使った運動を40分程やった。鍛錬の途中、君が雨戸を一枚ずつ拭き上げているのも見ていたぞ。それから全ての型をやって、走り込みをしてから身体を拭いて戻って来たところだ」
「へ…へえ!鍛錬をね」
…知らなかった…凄い。
ひなたが不満げに床を拭いたりしていた時、煉獄さんは飛んだり跳ねたり、お掃除したり身体を洗ったりしてたんだ。
「だから、君と同じ時間を起きてる。…さぁ、朝の時間は金と言うだろう!てきぱきとやって、次の事をしよう。手を動かす! 」
「はぁい…」
ひなたはしゃがむと、また床を磨き出した。とにかく長い廊下だ。幸い、今少し休憩できたおかげで、またやる気が出てきていた。
「良い感じだ。腰が入ってるな!昨日より力強く拭けているぞ」
杏寿郎にお尻を向けて、キュッキュと腕を動かしていたら、後ろから見ていた杏寿郎が励ますように言う。
「ありがと。煉獄さんも拭きませんか? 」
「ははは。君が卒業したらな。では、頑張れ! 」
言い残すと笑いながら自分の部屋へと入って行った。