第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
「ある人がいて、未来が見えるっていうか、分かる人なの。でね、お友達が亡くなってしまう未来が見えちゃったの。お友達に生きて欲しいから、どうしたら良いと思う? 」
宇髄はひなたの顔を見ながら聞いていた。
「そいつ、鬼殺隊? 」
「う、うん」
宇髄は手で顎を撫でた。考えているようだ。
「その話、余りに不明瞭過ぎて答えにくいが、そいつが隊士なら、死なないように守ってやるか、そいつを今以上に不死身にするしかねぇよな? 」
「今でも充分強いの。どうしたら良いのかな」
宇髄の目がカッと見開く。
「ハァ?誰だよ、そいつは。名前言ってみろ! 」
「私も聞いただけだから知らない人だよ。宇髄さんならどうするかなって」
ひなたは誤魔化すように言った。宇髄さんも目力が強く、ひなたを押すほど圧がある。
「上弦相手の話をしてんのか。とにかく、死なせたくないなら、強くなるしかねぇんだよ。そいつも、その未来が見える奴もな」
「そうだよね…。ありがとう」
宇髄から視線を離し、遠くにある松の木に目をやる。ひなたはやはり、継子になるしかないと思った。
「なぁ、ひなた」
「ん? 」
再び顔を上げて宇髄を見ると、宇髄の赤紫色の瞳と目が合う。
「煉獄の事なのか、それは」
「ちっ、違うよ!違うからね!! 」
「へぇ。だから継子になって、ひなたちゃんは煉獄を守るつもりなのかと思った」
「だから、違う!…⁉︎ 」
宇髄の身体をすぐ近くに感じた時には、唇が重なっていた。
「………………!! 」
一瞬だったけど、宇髄が重なるようにしてひなたの唇に触れていた。
「俺も、お前の男候補だからな。印つけとく」
「………」
言葉なく唇を押さえて立ち尽くすひなたにそれだけ言い残すと、宇髄はひなたの髪に触れ、早足で立ち去る。
音もさせずに歩いて行く宇髄の後ろ姿が、とても大きく見えた。