第7章 ※ 鬱金香のピンクは愛の芽生え
何がそんなに、この娘を継子に駆り立てるというのだろうか。産屋敷家の人間として、鬼殺に身を捧げたい気持ちがあるのは分かるが…。
杏寿郎はひなたの涙に溢れた瞳を見て、何故なのかと思いを巡らせた。
…未来に帰ったのに、わざわざ戻って来たのには何か、余程の理由があるに違いない。
「…分かった。君の気持ちを尊重しよう。ただ、条件があるぞ」
「なに? 」
涙に濡れた瞳でひなたは、杏寿郎の瞳を見上げた。美しい赤い瞳。睫毛の長い綺麗な瞼を見つめる。
「まず、お館様に許可をいただく事だ。そして、身体を健康にする事。君の安全の為に、君を監督する俺の言う事を聞く事だ」
厳しくも優しい口調で話す杏寿郎の言葉を、忘れないように頷きながら聞く。
「分かった。約束する」
「いいだろう。では、早速、お館様に話しに行こう」
杏寿郎は、胸の中にいるひなたの身体をゆっくりと起こした。
「立てるか?…つかまれ、ひなた」
「うん」
杏寿郎に支えてもらいながら立ち上がる。泣いたのが良かったのかな…?煉獄さんは継子にしてくれると言ってくれた。ひなたは嬉しくなった。
「耀哉さんは執務室にいるから、会いに行こう! 」
ひなたは先に立ち、襖を開けた。
「わあっ!! 」
びっくりし過ぎて飛び上がる。そこには耀哉と、あまねが立っていた。
「ひなた。驚かせてごめんね。杏寿郎が来てくれたから、私達も話をしたいと思ったんだ」
杏寿郎も、静かに耀哉の前に歩み出る。
「ひなたと一緒にお館様に話しに行くところでした」
礼儀正しく頭を下げる杏寿郎を見上げていたひなたは、煉獄さんが頼りになる男性である事を感じていた。