第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「君に会いに行った」
杏寿郎は真っ直ぐにひなたを見た。
「お館様とあまね様から、君は家に帰ったと聞かされたんだ」
「ごめん。煉獄さんに何も言わずに帰ってしまって! 」
ひなたにも予想できない、あれは急なお別れだったから。
杏寿郎が自分をじっと見つめている。何か訳を言わなければと思うけど、話して良いものか迷った。
「何か理由があったんだろう。無理に話さなくとも良い」
ひなたの困った様子を感じたか、杏寿郎はさらりと言った。
「それよりも、君が襲われたと聞いたから来たんだ。何があった? 」
ひなたのすぐ前に座っている杏寿郎の瞳が、とても心配そうに尋ねてくる。
「夜に…夜に一人で街にいて、気が付いたら寝かされていたの」
言いながら、相当変な事を言ってしまったと思った。これじゃ、記憶が曖昧な人というか、行動が変な人みたいだ。
「…というか、よく覚えてないの」
では誤魔化されなかったみたいで、煉獄さんの眉が、だんだんと寄っていった。
「ひなた。君は夜の街をよく歩くのか? 」
「いえ」
「では、どうして? 」
と、聞かれてしまった。煉獄さんも不思議だからか、ひなたにより近づいてひなたの言葉を待っている。
「…それも、それも含めて、全てが謎なの」
煉獄さんのきりり、とした眉が間近で見えて、ひなたは少し赤くなってしまう。煉獄さんが、水も滴る程にかっこいい…。
「あっ、いたたた…! 」
胸の辺りを押さえて、ひなたは煉獄さんの視線から顔を逸らした。
「大丈夫か!顔が赤い!」
杏寿郎がひなたを庇い、慌てた様子で近くにあった座布団にひなたの頭を置くようにして寝かせる。
「横になって、楽に呼吸して。痛むか?…無理に喋らなくとも良い。さあ! 」
「あ、ありがと」
「ああ」