第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
室内に入って来たひなたを目にした杏寿郎は立ち上がった。
「ひなた…大丈夫なのか⁉︎ 」
「…煉獄さん…」
二人は数秒の間、お互いの顔を見ていたが、杏寿郎はすぐに動き、戸口にいたひなたの身体を支えるようにした。
「動けるか?…ゆっくり。ゆっくりで良い、俺につかまれ」
「ごめんね」
ひなたが座り易いように、上半身を抱き抱えるようにしてから、座布団にひなたを座らせる。
「痛むか?鬼に切られた痛みは、なかなか消えないから」
ひなたはドキリとした。煉獄さんはあの事を知っているの?
「…知ってるの?私のこと」
「ああ。宇髄と俺しか知らないから、安心してくれ」
「うん」
杏寿郎はひなたの側に腰をおろした。胡座をかいて座る。久しぶりに見た煉獄さんの姿。ひなたは、ずっと会いたかった煉獄さんが、手の届く所にいる事に泣いてしまいそうだった。
そして、その瞬間に思った。
ここに来て良かった。もう一度、煉獄さんに会えたから。怖い思いをしたけど、それでも良かったと思えた。
煉獄さんは生きている。
そんな思いを噛み締めていた。もちろん、煉獄さんには言えないから、心の中だけで感激したり、納得したりと忙しい。
「痛いのか?横になるといい」
ひなたが泣きそうになったり、手をぎゅっと握ったりしているので、見ていた杏寿郎は心配げな顔をしている。
「ううん、違うの。煉獄さんは元気だった? 」
「俺は、とても元気だ!毎日よく食べよく働いている! 」
ははっ、と笑っている。笑うと白い歯が奥まで見えて、屈託のない性格である事が伝わってくる。
「煉獄さんの笑った顔、久しぶりだ…」
間近で見る煉獄さんの顔はやっぱり綺麗でキリっとしていた。嬉しい気持ちが込み上げる。
一人じーんとしているひなたに、杏寿郎の静かな声がした。
「君は、家に帰っていたのか? 」