第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
宇髄は声をひそめて話した。
「この事は、お館様も内密にしておきたいだろうからさ。お前だから話すんだぜ。…ひなたは怪我を負った」
「怪我の具合は⁈酷いのか⁈ 」
「傷自体はそんなに酷くはなかったようだ。ただ」
杏寿郎の瞳がギラリと光を放つ。
「何だ⁉︎ 」
「鬼がひなたの身体を弄ぶような襲い方をしたんだ…。女の身体に執着があるような奴だったのかもな…。特異な野郎だ」
「宇髄、先に失礼する」
杏寿郎は席を立つと、身を翻して店の入り口にある会計場へと向かう。
「お、おい…。お前、天丼のお代わりは⁉︎ 」
「君が食べてくれ! 」
追いかけるような宇髄の声に、全ての勘定を済ませた杏寿郎は店の引き戸を開けて出て行く。
「そうだよな。仲が良かったなら心配になるよな」
杏寿郎のいつもと違う取り乱した様子は珍しかったが、杏寿郎の気持ちも分かった。
「でも待て!どういう関係なんだよ⁉︎ 抜けがけは許さねぇ! 」
杏寿郎の出て行った引き戸に叫ぶ。
「はい、お待たせ。鰻卵丼大盛りと海老天丼の大盛りね! 」
女将が出来立ての丼を運んで来た。
「おっ!美味そうだな。腹ごしらえしとくか! 」
一人、取り残された宇髄は、食べ終わったらひなたのお見舞いに行くと決めて、二つ並んだ湯気の立つ丼を前に手を合わせた。
「いただきます!!美味い」
「煉獄の奴、慌てて出て行ったな。俺はひなたに土産でも買って行くか」
口に運びながら、ひなたへのお土産は何が良いかと考えていた。