第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
杏寿郎がひなたの事を聞いたのは、あの事件から一週間ほど経ってからだった。
「煉獄、確かお前は産屋敷ひなたの知り合いだったよな? 」
「ああ。ひなたは友人だ。最近会えてないが…。それがどうした」
鬼殺隊士がよく使う、定食屋。お昼を食べに暖簾をくぐった宇髄は、大盛りの海老天丼を食べている杏寿郎の姿が目に入る。
「よぉ。煉獄。あ、俺は鰻卵丼と肝吸い、大盛りで」
店の女将に注文して、杏寿郎の前の空席に座った。
「いらっしゃい。今日はお二人揃ったねぇ」
店のふくよかな女将が、宇髄の前にお茶の入った湯呑みを置いた。
「女将に会いに行こうかって、二人で示し合わせてきたんだよな? 」
宇髄の言葉に女将は嬉しそうに笑い出す。
「やあだ!この人ったら、また口が上手いね。小鉢持ってくるわね。お兄さん、海老天丼のお代わりは良いのかい? 」
「いただこう。女将、この辺りで何か不審な事はなかったか? 」
杏寿郎は尋ねてみる。先日の夜、この近くの草むらで血痕を見つけた。あの後、付近を見てまわったが、鬼はいなかった。
「最近?聞かないけど…。三軒先の店に空き巣が入ったけどね。捕まったのよ。誰だったと思う?勘当された息子だったって! 」
「そうか」
「何だよ、それ」
「あ、いらっしゃい! 」
女将が行ってしまうと、杏寿郎は宇髄に目を向けた。
「一週間程前の夜の事なんだが、君はいたんだろう、宇髄」
草むらに残っていた火薬の爆ぜた跡。宇髄は頷いた。
「女の子が襲われたんだ」
「女の子がか」
「煉獄、お前は産屋敷ひなたの知り合いだったよな? 」
杏寿郎は鬼殺隊祭の日以来、ひなたに会えていなかった。訪ねて行ったら、ひなたは家に帰ったと言われて、それ以上の事は知らされていなかった。
宇髄はひなたの事を知っているのだろうか。
「あの子だったんだ。あの夜、襲われたのは」
「何、だと…!」