第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「具合はどうだ? 」
産屋敷家のお庭に宇髄が入って来た。椅子に座っていたひなたは、声のする方にぼんやりとした目を向けた。
あれから3日が経ち、ひなたは歩けるようになっていた。ひなたが一人で休憩ができるよう、お庭には椅子が置かれた。脚には問題が無かったので、落ち着いたら一人で歩いて来てみた。
あの夜の事を思い出すと、身体が震えてしまうが、その度に産屋敷家の人達が側にいてひなたに大丈夫だと元気づけてくれていた。
ひなたは少しずつ、落ち着きを取り戻しつつある。
一人で座り、夏の庭の景色を眺めていると、宇髄が今日もやって来た。
「傷は少しは治ったのか? まだ話せないか…」
宇髄はひなたの座っている椅子の背もたれに手を置いた。
「お嬢様は話したくない気分だよな? 」
…宇髄さんだ…。助けてくれたお礼をまだ言ってなかった。
「違うの…」
ひなたの小さな呟きみたいな声が、宇髄に届いて、宇髄天元は嬉しそうな笑顔になった。
「地味に毎日、会いに来てたんだぜ?知らなかっただろ」
「毎日? 」
「怪我は治ったかな、とか、泣いてないかな、とか。気になるだろ。…助けてって言われたんだからな」
「で、元気になった? 」
背もたれに置いた腕に頬杖をついた宇髄と目が合った。
…綺麗な瞳…。
こちらを見ている宇髄の両の目が美しい。煌めきを持った赤紫の瞳は、グラスに注いだ紅色のワインのような色をしていた。
「…美味しそう…」
「何? 」
赤ワインに見えて思わず呟いてしまった。宇髄は目を見開いてひなたに額を付けるようにして顔を覗き込む。
「…おい…。ショックで感受性が変になっちまったか? 」
いきなり宇髄の顔が寄せられて近く、ひなたの胸がドキリとする。