第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「もう安心していいのよ…。あなたの事は私達が守ります」
あまねはひなたの額に優しく触れて言った。会いたかった二人の声に包まれ、ひなたは目を閉じた。
閉じた瞼から涙がひと筋、流れ落ちる。
静かに目を閉じると、ひなたはすぅっと眠りに落ちる。それを確認すると、耀哉はあまねの手を取り握りしめた。あまねの澄んだ瞳からも涙が落ちそうになっていた。
「あまね、薬の中の睡眠薬が効いたみたいだね。ひなたは安らかに眠っている」
「ええ…」
あまねは指で涙を拭った。
「ひなたは帰ったと思っていたのに、何故、あの場所にいたのでしょう。助けもいない夜の街角で、ひなたの味わった恐怖を思うと…わたくしは…」
普段は感情をあまり表に出さない、冷静なあまねが、悔しい気持ちを露わにする。
耀哉はあまねの手を握り、静かにあまねを引き寄せた。
「あまね。大丈夫だから、泣かないで。ひなたは不幸にも鬼に遭遇してしまった。私はひなたを襲った鬼を赦しはしない。ひなたは、私達に何かを伝えたくて戻って来たのかもしれないね。これからは私達がひなたを守っていこう。天元にも感謝しないといけないね」
「はい…」
あまねは耀哉の胸の中で静かに泣いていた。ひなたのいる世界で、幸せを願っていたのに…。この時代で死にかけていたなんて…。音柱様がいなければ、ひなたは誰にも知られずに亡くなってしまっていたかもしれない。
それを思うと、あまねの心は千々に乱れた。
「すみません…。お館様、ひなたが目を覚ましたら、もう私は泣きませんから」
「そうだね」
二人はひなたの寝顔を見ながら、ひ孫の傷が早く治る事を願った。