第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「ひなた。目が覚めたかい? 」
重たい瞼をやっと開けると、懐かしい響きの声がした。
「ひなた…。良かった…! 」
もう一人。これは、あまねの澄んだ声だ。
「…っ…うっ……! 」
ひなたの両目から涙が溢れてくる。二人は、覗き込むようにしてひなたの顔を見ていて、それがひなたに、もう安全だと教えたからだ。
「怖かったろう…。もう大丈夫だよ。おやすみ」
耀哉がひなたの髪を撫でる。優しく繊細な指先…耀哉の向こうに懐かしい部屋の内部が見えた。前にひなたが滞在していた部屋だ。
「ひなた。怪我をしているから、急に動いては駄目よ。お館様が仰るように、今はまだ、身体を癒しましょう」
ひなたはこくりと頷いた。涙が頬を伝う。
何か話したいけど、強いショックを受けたからか、言葉がすぐに出なかった。
ただ、胸と腰、腹部に刃物で斬られたような痛みと、身体全体に重たい痛みがあった。
「…わたし……」
そこまで言うだけで胸が苦しくなってしまった。思い出したくないのに、あの鬼の男がひなたにした事を思い出してしまう。
「ひなた。君は無事だった。身体にも異常はなく、怪我が治ればまた元気になれるよ。だから、君に起こった事を思い出して苦しまないで」
耀哉の瞳は、ひなたに対する慈しみで瞬いている。不幸にも鬼に遭遇してしまった可愛いひ孫の、身体と心の傷が早く癒えるよう、心を込めてひなたを見つめている。
「君をここに運んで来てくれたのは、天元だよ。鬼殺隊で音柱をしている。ひなたも前に会ったね。覚えているかな?…天元は、君を抱き抱えて走って来てくれたから、君の治療がすぐに出来たんだ。おかげで、傷も残らないと言われたよ。安心して、今は眠りなさい」